過去の生き方が現在の自分を形作る。現在の生き方が自分の未来を創っていく。
この、原因あれば結果ありのことを『縁起の法則』といいます。
これは、どのような人であってもこの法則は等しく働いています。
それはクリスマスキャロルのスクルージとて同じです。
でもこの法則をスクルージはどのように生かすことができたのでしょうか?
現在・過去・未来を見せられたスクルージ
クリスマスシーズンになると『クリスマスキャロル』の物語を思い出しますね。
18世紀のイギリスの文豪、チャールズ・ディケンズの小説です。
たぶん、ほとんどの方は絵本や小説を読んでいるか、映画で観たのではないでしょうか。
主人公のスクルージは、自分の事しか考えない強欲な商売人でした。
ある時、3人のゴーストが現れて「過去、現在、未来」を見せられました。
「過去」を見せるゴーストには、スクルージの純粋な少年の頃や雇い主からも
愛されていた事実を見せられて
その後、心変わりしたスクルージは愛想着かした恋人に逃げられ、
その上ショックなことに今度は恋人の幸せを見せられました。
それに彼は嫉妬の心を持ったのでした。
「現在」を見せるゴーストには、スクルージがクリスマスの夜をつまらないと言って
安月給で雇っているクラチットが質素なパーティーを精一杯明るく家族と楽しんでいる
光景を見せられました。
「未来」を見せるゴーストは、廻りの人から悲しまれるどころか、金品をすべて盗まれていく、
ひとりの無惨 な死を迎える老人の情景を見せられました。
それがスクルージ、本人の姿であることを改心した物語です。
彼はその後、社会貢献の為に残りの人生をついやしました。
このスクルージが、まさに「第二の人生」を生きたといっても過言ではありません。
現在は、過去によって創られている
スクルージは、ゴーストのおかげで悲惨な生涯を終えずにすみました。
人間は、過去現在未来という時間の流れの中に生きています。
過去は単なる過ぎ去った時間ではありません。
なぜなら時間の中に人はそれぞれ「どのように生きたか」のあかしがあるからです。
心で念い、頭で考え、言葉でつたえて行動しています。
この事実はたったひとりの経験ではなく、他人との共有した時間もあります。
それに状況、環境、情報、知識や他人など複雑にからみ合ったなかに生きています。
では現在はどうでしょうか?
今まさに未来に向かって歩んでいる状態です。
誰しも過去には、戻る事はできません。
現在とは、「過去の生き方」の結果でもあります。
細かくいうと「過去の考えや行動」が、現在の生き方としてあらわれているのです。
そして現在生きている人は、その考え方や生き方の上に希望の未来を選択しているのです。
過去には二度と戻れないのか?
しかし、安心してください! 持っていますよ。
人間は誰でも、悔いのある過去の人生を金に変える「錬金術」を持っています。
先程、「誰しも過去には戻る事はできません」と言いました。
でもそれは現実世界の自分が戻れないのは、当りまえです。
方法があるとすればタイムマシーンに乗るか、過去にワープするしかないですよね。
心は時間を超えた中に存在しているスクルージは、ゴーストによって過去を見せられました。
過去を見せられるとはどういう事でしょうか?
どこかに個人個人の生きた過去が記憶されていなければ見せられません。
たぶん、それは3人のゴーストの魔術によって、スクルージの記憶が頭を通して
心のスクリーンに投影して過去の生き様を見せられていたように思います。
『心』とは魂、霊、意識と言われるものです。
でもこれらは目に見えるものではありません。
目に見えるものではないとしたら、この世を超えた次元に存在すると考えられます。
であれば、心は過去にワープする事も考えられますよね。
過去の出来事を振りかえってみた時に「よい思い出」より、「悪い思い出」のほうが
より鮮明に覚えていませんか?
「よい思い出」にはひたれますが、「悪い思い出」は思い出すと辛くなるので
フタをしますよね。
なかったことにしたり、人のせいにして自分を正当化したりしませんか?
それは心に傷が付いている証拠です。だから強い記憶として残っています。
スクルージが「第二の人生」を歩めたのは、心の入れ替えに目覚めた時です。
心が過去に戻って、誤った自分の生き様を修正し、心の傷をいやせたからこそ、
現在、未来の結果をよいものに変える事ができたのです。
この方法が『錬金術』なのです。
この錬金術は人間なら誰しも神から与えられたプレゼントとして持っています。
ちなみに「現在」を英語で「PRESENT」と言います。
現在はまだ、どの様にでもできる自由を与えられているので、プレゼントと言うのかも
知れません。
自分が過去を修正するのか、そのままいくかの選択は自由です。
ただ、プレゼントを開けてみて、実践してみないのは後悔するくらいもったいないかも
しれませんね。